Dialog#2「オーセンティックリーダーシップ」一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート代表理事 荻野淳也さん Vol.2

9、モヤモヤと向き合う

荻野:では、そのモヤモヤをどうすればいいのか?というと、モヤモヤが何なのかということに向き合って、そこを探究してみる。健全に。そこでマインドフルネスがまさに大切だと思っています。マインドフルネスというのは、評価判断なくあるがままに物事を見ていく状態です。

川嶋:自分の状態を評価判断なく、あるがままに感じるということですね。

荻野:そうですね。マインドフルネスは自分の外側も内側もひっくるめてということですけども、自分にベクトルを向けたときに、このモヤモヤは何なのか、その感覚を探求してみる。それを、セルフ・アウェアネスとか、自己認識力と言ったりしますが、できれば好奇心を持って、ワクワク感を持って、「何で俺はモヤモヤしているんだろう?」とか、「何で私はこのモヤモヤをずっと抱えているのだろう?」って探求していくと、自分の大切にしているものが大切にできてないんだと気付いたり、自分の価値観に反するような行動をとっているから湧いてきているんだな、など、いろんなヒントが出てくるんじゃないかなと思います。
今はさまざまな自己探求のワークがあるので、それをやってくと見えてくると思いますが、やっぱりこのモヤモヤの原因は、内側の世界と外側の世界の乖離かなと思います。

川嶋:そうですね。モヤモヤはシグナルだ、と捉えて、自分との対話をするきっかけにしていただけるといいのかなと思います。多くの人はネガティブな感覚や感情を持ちきれないというか、その状態自体を良くないものとしてジャッジをしたり、「こんなモヤモヤしてる自分って駄目なんじゃないか」と考えてしまう。頭で。だから、向き合ったり探究したりせずに、モヤモヤにフタをして我慢をしてしまっている方もいらっしゃるのかなと思います。まずはそのジャッジを外して、健全なモヤモヤは歓迎していい状態と認識することが大事ですね。

荻野:そうです。歓迎すべきもの、というか。僕や川嶋さんは、課題があればそれを分析して整理をして解決して、スッキリするという訓練をずっとしてきてますよね。そういう人は私たちだけでなく、世の中に多いと思います。

川嶋:そうですね。

荻野:名前を付け、ラベリングするわけです。でも本当の本質的な自分自身の課題や、向き合わなければいけないものというのは、もしかしたら1週間後に分かるかもしれない、1年後とか3年後とか、下手したら10年後に内側からインスピレーションが湧いてくるものかもしれない。
ジョブズの内なる声を聞けって話がありますよね。まさに内なる声というのは、その人のベストのタイミングで湧き上がってくるのではないかなと思います。健全なモヤモヤをちゃんとホールドする。来るべきタイミングで「分かった!」「これか!」みたいな。「これがあったからこんなにモヤモヤしていたのか」「インスピレーションを得るためにこの1年があったのか」というタイミング必ずくると思います。

川嶋:そうですね。自分を信頼する、自分の人生自体を信頼する。何かが起こったことを今すぐ分析して、それが何の症状なのかが分かって、最短最速でソリューションまで分からないといけないという、時間軸の短い受け止め方ではなくて、しかるべきタイミングで、ちゃんとそれが意味のある形で自分の中でストンと落ちる時がくる。その時が来たら内側からインスピレーションが湧いてくると信じて自分を信頼する。自分の人生を信頼するから、ゆったり構えて、そのモヤモヤを歓迎できるし、好奇心を持って楽しめる。そんな心の姿勢、そんな人生の向き合い方というイメージですよね。

荻野:まさにそうですね。自己信頼ですよね。

10、リーダーシップジャーニー

川嶋:本当そうですよね。リーダーシップの世界だとリーダーシップジャーニーと言いますが、まさに旅路ですね。旅のプロセスで、モヤモヤをきっかけに、探求が深まって、その旅路の中である一定の所まで行ったら、出会うべきものに出会っていく。そのことに対する信頼感があれば、モヤモヤや、ネガティブな感覚・感情を過度に怖がらなくていいのではないでしょうか。

荻野:そう。楽しめると思います。そのプロセスを何回か繰り返していって、「次なるリーダーシップジャーニーに入っているんだな自分は」みたいな気付きがあると楽しめるようになると思います。ただ、そのリーダーシップジャーニーが全く初めてだったり、そのジャーニーを避けて通ったりしていると、いつまでたっても不安と恐れだけで前に進めない状態になります。

11、変化の波にさらわれるのか、巧みに変化の波に乗っていくのか

荻野:特に去年からVUCA時代、ブーカワールドと言われていますよね。実際にはそれはもっと以前から起こっていますが、変化が非常に激しく、答えがない時代なわけです。答えは自分で見つけ出すしかなくて、みんな同じ条件です。それをビクビク恐れて硬直していると、何もしなければ何も起こらない。どんどん取り残されるだけの時代になっています。なぜなら外部環境がすごいスピードで動いてるので、それに合わせて僕たちも変化してかないといけない。よくいうのが変化の波にさらわれるのか、サーファーみたいに巧みに変化の波に乗っていくのか。もう二つに一つですと。どっちを選択しますかっていう時代になってきています。

川嶋:本当そうですよね。今、波乗りに例えてくださいましたけど、サーフィンって自分で波をどうにかして乗ってやろうとすると全然乗れないんです。それよりも波にシンクロさせて、自分が調和していこうと思うとすごく気持ちよく波に乗れたりするんです。初めてサーフィンをした時ににまさにそれを経験して、「絶対、あの波に乗ってやるぜ!」と思うと全然乗れなかったことを思い出しました。(笑)
人生やリーダーシップジャーニーも同じだと思います。社会がものすごいスピードで変化をし続けている様に、波の動きは自分でコントロールできないけれど、そこに呼吸を合わせたり、波長を合わせたりする感覚になると気持ちよく波に乗れ。逆に恐れがあってサーフボードにしがみついてるだけだと、波に飲まれたり、沈んだりするかもしれない。サーファーの様に変化の波に乗っていく。そんな感覚を大事にしていただくとすごくいいですね。

荻野:いいですね。

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