Dialog#2「オーセンティックリーダーシップ」一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート代表理事 荻野淳也さん Vol.2

12、オーセンティシティとマインドフルネス

川嶋:もう一つ荻野さんとお話したいことがありまして、オーセンティックリーダーシップとマインドフルネスってすごく関連性がありますよね。どこがどうつながっているのかというところのお話を今日の着地点にできたらいいかなと思っています。

荻野:先ほどの話からすると、例えば今モヤモヤしているということの中で、モヤモヤの原因を探求するとか、本当に自分が何を大切にしているかという、価値観や自分の信念体系に気付いてくプロセスというのは自己認識力のことで、自分自身に気付いていくということです。それは自分の身体感覚もそうだし、自分の内側にある志も、自分の夢も、価値観もそうです。結構日本のリーダーも含めビジネスパーソンって、自分が何者かとか、自分が何を目指しているのかとか、自分が何を大切に生きているのかを知らない人が多い気がします。

川嶋:そうですね。それは私も実際に色々な企業のリーダー、組織のリーダーに関わらせていただく中で、関わらせていただければいただくほど強く感じています。自分は何者かという、自分の内側にフォーカスを向けていく、意識を向けていくことは脇に置いて、がむしゃらに求められる成果を出していく。

荻野:数字・成果ね。

川嶋:そう。数字・成果を出すことに邁進して数十年ビジネスの世界で結果を出されてきた方たちなので、オーセンティックリーダーシップや、リーダーシップの本質であるセルフリーダーシップの話をすると、「どこから自分自身と対話を始めていいのか?」「どこから自分を探求していいのかが分からない」という方がとても多いです。今まで外側に意識を向けて結果を出すことには毎日取り組んでいるので、そこは筋肉が付いていて簡単に動かすことができるけれども、今までとは逆に内側に意識を向けて内省することを数十年使ってないので、どこから動かしていいか分からないという方がすごく多いですね。

荻野:感覚が麻痺しているからね。なぜ僕たちがマインドフルリーダーシップやマインドフルネスに注目しているかというと、マインドフルネスっていうのは今ここに注意を向けている状態です。その感覚やその注意を自分自身の内側に向けたときに、自己認識力が現れ、深まってきます。リーダーシップの基盤っていうのは、セルフ・アウェアネス、自己認識。自分自身が本来の志や、在り方に気付いていくということです。それがセルフリーダーシップの発揮になり、それを元にチームを率いて、社会を率いてくという流れです。一番初めにやらなければいけないのは、リーダーこそ自分自身を知るということです。
マインドフルネスが注目を浴びている一つの理由として、脳科学の発達があります。マインドフルネスの状態を脳科学的に研究していくと、実はいろんな脳の部位が活性化する、もしくは活動が抑制されることが分かってきていて、その一つがマインドフルネスの状態だと自己認識力を司ってる部位が活性化すると分かってきています。

川嶋:自分を客観視してメタ認知できるということですね。

荻野:そうですね。先ほどのモヤモヤに気付いたり身体感覚が高まったりということです。マインドフルネスの状態を鍛錬していくと、自己認識力が高まっていきます。その内なる自分の内側の世界の気付きは高まっていきます。例えばそれが価値観だったり、志だったり、ビジョンだったりします。そこに気付くリーダーこそオーセンティックリーダーシップであり、まさにマインドフルリーダーシップだと思います。まずマインドフルネスベースの自己認識力をつくっていくところがオーセンティックリーダーシップに大切であり、僕がやっている一つのステップです。

13、外側の世界と内側の世界

川嶋:ありがとうございます。マインドフルネスがあることによってリーダー自身が自分に気付く、自分を認識するということが高まっていく。これを日常的にやっていると何かが起こったり、何かを感じたり、何かを見たらすぐにセルフアウェアネスができる状態になるので、すぐに自分のオーセンティックな状態にも戻ったり、内なる自分と繋がり直しやすくなる。それは、まさに自分のオーセンティシティからくるリーダーシップを発揮しやすい状態に常になるということなので、基本OSとしてマインドフルネスがあって、それを毎日取り組むことによって、オーセンティックなリーダーシップが発揮されやすくなる。それがマインドフルリーダーシップであり、オーセンティックリーダーシップということですね。

荻野:はい。そのように理解をしています。

川嶋:そこは私も本当に同感です。日本だと感情を押し殺して、感じないようにしながら成果や役割を全うするというのが、ステレオタイプかもしれませんが、昭和的な価値観で仕事を邁進し、結果を出されてきたビジネスリーダーではないでしょうか。その恩恵があることも十分理解していますが、マインドフルネスのように自分の感情や、感情の前の体のシグナルを、身体感覚からキャッチし、それをきっかけとして自分の大事にしてる価値観や、信念、自分自身に気付いてく。それにより自分との対話を深め、自分自身とのつながりを深めることで自分のオーセンティックなリーダーシップがより発揮されやすい状態を作っていく。私も日々心がけているのですが、荻野さんも、毎日自分との対話を呼吸するのと同じようにされているのではないでしょうか。

荻野:していますね。外側の世界と内側の世界といっていますが、僕たちは実は無意識に見たい世界しか見てないかったり、、自分自身のフォーカスや、無意識の偏りや固定概念、自分の内側にある常識で外側を見ています。最近アンコシャス・バイアスという言葉もキーワードになっていますね。結局、本当にあるがままの世界を見ているわけではないのです。だから自分の内側を深めたり、どんなふうに自分が世界を見ているかに気づくだけで、つまり自分の在り方が変わることで外側が変わって見えるのは、結局自分の見方が変わってくるだけなのです。

川嶋:そうですね。見方が変われば外側の世界との関わり方も変わっていきますからね。おのずと外側の世界が変わっていく。そういうことですね。

荻野:そうですね。

川嶋:内側の世界と外側の世界は結局リンクしているということですね。ありがとうございます。今日は、すごく深いお話、本質的なお話がたくさんできて嬉しく思います。荻野さん、素晴らしいお話をありがとうございました。


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